文筆眼心抄
空海編著。天・地および東・西・南・北巻

と名づけられた6巻から成る。

809年(大同4)から820年

(弘仁11)までのあいだになる。

詩文作成の鏡として中国の六朝後期から

中唐期にかけての詩論を略抄編集したもので,

天巻の総序と東巻・西巻の小序を除き,

ほかはすべて原典から部分的・全体的に,

原文の字句を改変せずに取捨し接合している。

この書は空海の宗教活動以外の文字・

文章への関心と造詣を示す,

主として真言宗の学僧間で読まれたにとどまり,

日本の詩学の発達にはあまり影響を与えなかった。

しかし,原典たとえば六朝後期の『四声譜』

(著者不明)・劉善経の『四声指帰』

あるいは唐代の元競『詩髄脳』

・崔融『唐朝新定詩体』などは中国でも散逸したため,

本書によってはじめてそれらの内容や

著者を知ることができる,

文献史的にはきわめて貴重とされる。

なおこの書の要旨である

『文筆眼心抄』は820年に成立。


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